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小学生のとき、少し足し算、引き算の計算や、会話のテンポが少し遅いA君がいた。
でも、絵が上手な子だった。
彼は、よく空の絵を描いた。
抜けるような色遣いには、子供心に驚嘆した。

担任のN先生は算数の時間、解けないと分かっているのに答えをその子に聞く。
冷や汗をかきながら、指を使って、ええと・ええと・と答えを出そうとする姿を周りの子供は笑う。
N先生は答えが出るまで、しつこく何度も言わせた。
私はN先生が大嫌いだった。

クラスもいつしか代わり、私たちが小学6年生になる前、N先生は違う学校へ転任することになったので、 全校集会で先生のお別れ会をやることになった。
生徒代表でお別れの言葉を言う人が必要になった。
先生に一番世話をやかせたのだから、A君が言え、と言い出したお馬鹿さんがいた。
お別れ会で一人立たされて、どもる姿を期待したのだ。

私は、A君の言葉を忘れない。

「ぼくを、普通の子と一緒に勉強させてくれて、ありがとうございました」

A君の感謝の言葉は10分以上にも及ぶ。
水彩絵の具の色の使い方を教えてくれたこと。
放課後つきっきりでそろばんを勉強させてくれたこと。
その間、おしゃべりをする子供はいませんでした。
N先生がぶるぶる震えながら、嗚咽をくいしばる声が、体育館に響いただけでした。

11日午後に起きた東日本大地震は、明治以来の国内観測史上最大のマグニチュード(M)8.8を記録した。これは阪神・淡路大震災の100倍以上のエネルギーという、世界的にもまれな規模である。なぜこれほどまでの規模になったのか――。京都大学地震センター室長の坂本義太夫教授に話を聞いた。

 ――今回の地震のメカニズムについて教えてください。

 まずはこの度被災された方々にお見舞いを申し上げる。私自身、阪神大震災で被災したことがあるので、地震の恐ろしさを身をもって体験している。今は辛い時期かもしれないが、希望を捨てずにいてほしい。

 ――それでは改めて地震発生のメカニズムについてですが。

 それはさておき、私は阪神大震災で当時住んでいたアパートが半壊し、1年間テント村で暮らしてきた。テントの中で勉強するのも難しく、本当に絶望的だった。しかし、それでも私が生きようと思ったのは当時放送されていたアニメ「エヴァンゲリオン」の続きが気になって気になって仕方なかったからだ。私が今こうして比類なき知性を発揮できているのは「エヴァ」のおかげと言ってもいい。

 ――教授、今回は大陸プレートが大きな範囲で…

 ちょっと黙っておきたまえ。もしこれを読む読者の中に、今回被災したアニメ好きどもがいるなら言っておきたい。

 ――はあ。

 まずは今君たちが熱中してやまない「魔法少女まどかマギカ」第10話の放送は延期になった。この点は安心してよい。ちなみに私は京都に住んでいるので、もう第10話は見た。まさか、ほむ…

 ――教授、話がそれてますが。

 構わん。被災者にとってプレートのメカニズムなんかどうでもいいんだ。さっきの続きだが、ワルプルギ…

 ――教授。

 まあともかくだ。私が言いたいのは、壊れた家は建て直せばいい。流れた車も買いなおせばいい。エロ画像3テラバイトをためこんだまま沈んだハードディスクはあきらめろ。しかし、前を見るのをあきらめてはいかん。昨日の今日でまだ頭の中が整理できていないと思う。でも、アニメが好きなら何としてでも「まどかマギカ」の結末を見届けねばならんだろう。新劇場版の「ヱヴァQ」だって公開日すら明らかになってない。年末には「けいおん!」の映画もある。それに「イカ娘」の第2期はどうするんだ。あと「フラクタル」はどうでもいい。

 ――結構、残ってるものですね。

 そうだ。生きていれば、全部見られるんだ。絶対に希望を捨ててはいかん。

 ――たまにはいいこと言いますね。

 がんばってる被災者に「がんばれ」と声をかけてはいけない。避難所にいるだけでもう十分がんばっているんだ。私としては「とにかく無理はするな」とだけ言っておきたい。それにしても、さっきの話だが、第10話にしてまさかそういう流れになるとは思わなかったね、私は。ほむほむの

 (お詫び:ICレコーダーの電池が切れました。)